ファンファーレを音楽的に研究
現在使用されている中央競馬のファンファーレは6人の著名な作曲家によって作られました。
(宝塚記念、名鉄杯などのオリジナルファンファーレを除く)
障害競走の2つのファンファーレはファンファーレの分類にも書いたとおり、三枝成彰氏が作曲されました。
一方、平地競走の17のファンファーレは合計5人の作曲家によって作られたものです。
5人の作曲家は競馬場ごとに分かれており、それぞれの競馬場のファンファーレには様々な特徴が出ています。
例えば、使用されている楽器や、調や拍子など。
このページでは、ファンファーレに関する様々な音楽的研究結果を書き記していきたいと思います。
(ポリグラム株式会社販売のCD「KING OF TURF 中央競馬のファンファーレ」に付属する楽譜を参考にさせていただきました。)
東京・中山ファンファーレ(作曲:すぎやまこういち氏)
京都・阪神ファンファーレ(作曲:宮川泰氏)
中京・小倉ファンファーレ(作曲:川口真氏)
福島・新潟ファンファーレ(作曲:服部克久氏)
札幌・函館ファンファーレ(作曲:鷺巣詩郎氏)
障害競走ファンファーレ(作曲:三枝成彰氏)
東京・中山ファンファーレ
東京・中山競馬場で使用されているファンファーレと関東GTファンファーレは
グループサウンズなどのJ-POPやゲーム音楽の作曲で知られるすぎやまこういち氏が作曲されました。
(すぎやま氏はこの他にも関東の本馬場入場行進曲の作曲をされています)
これらのファンファーレはトランペットのメロディーとホルン・トロンボーン・チューバ・打楽器のリズムが基本となっており
締まりのある、典型的なファンファーレのスタイルとなっています。
・使用楽器(ほぼ全曲統一・括弧内の数字は使用される楽器の本数)
トランペット(4)
ホルン(2)
トロンボーン(3)
バス・トロンボーン(1)
チューバ(2) ※重賞ファンファーレのみ1本
スネアドラム
バスドラム
シンバル
※ 生演奏などでは違う楽器が使用されることがあります。
京都・阪神ファンファーレ
京都・阪神競馬場で使用されているファンファーレと関西GTファンファーレは
J-POPやアニメ主題歌(宇宙戦艦ヤマトなど)、番組音楽などの作曲で知られる宮川泰(みやがわ・ひろし)氏が作曲されました。
これらのファンファーレは、東京・中山のファンファーレに比べてノリのいい印象を与えてくれます。
(その結果、手拍子問題が起こってくるわけですが・・・)
その理由として考えられるのは、まずメロディーの親しみやすさというのもありますが
やはり「ホルン」という楽器の持つ役割の違いが大きいと思います。
東京・中山のファンファーレにおいてのホルンは「リズム楽器」としての役目しかなかったのに対し
京都・阪神のファンファーレにおいてのホルンは「裏メロディー」の役目を果たしており、非常に重要となっているからです。
また、打楽器、特にシンバルもいい仕事をしているファンファーレです。
・使用楽器(全曲統一・括弧内の数字は使用される楽器の本数)
トランペット(4)
ホルン(2)
トロンボーン(4)
チューバ(1)
スネアドラム
バスドラム
シンバル
※ 生演奏などでは違う楽器が使用されることがあります。
中京・小倉ファンファーレ
中京・小倉競馬場で使用されているファンファーレは
歌謡曲の作曲や編曲で知られる川口真(かわぐち・まこと)氏が作曲されました。
これらのファンファーレにはチューバや音色をやわらかくするホルンが使用されておらず
トランペット・トロンボーン・打楽器のみの締まりのあるファンファーレとなっています。
また、少々難しいメロディーですが、「かっこいい」と評判が高いファンファーレでもあります。
(特に特別競走のファンファーレの人気は高いです)
・使用楽器(全曲統一・括弧内の数字は使用される楽器の本数)
トランペット(4)
トロンボーン(4)
スネアドラム
バスドラム
シンバル
※ 生演奏などでは違う楽器が使用されることがあります。
福島・新潟ファンファーレ
福島・新潟競馬場で使用されているファンファーレは
アニメ主題歌や番組音楽の作曲、J-POPの編曲などで知られる服部克久(はっとり・かつひさ)氏が作曲されました。
こちらも中京・小倉のファンファーレ同様、ホルン・チューバが使用されていませんが
中京・小倉のファンファーレとはっきり違うところは、打楽器が駆使されていることです。
特に、重賞と特別のファンファーレはドラムロールから始まるのが印象的です。
また、中央競馬のファンファーレの中では使用される管楽器の数が最も少ないものとなっています。
・使用楽器(全曲統一・括弧内の数字は使用される楽器の本数)
トランペット(3)
トロンボーン(2)
スネアドラム
バスドラム
シンバル
※ 生演奏などでは違う楽器が使用されることがあります。
(重賞ファンファーレは合唱による演奏が行われたことがあります)
札幌・函館ファンファーレ
札幌・函館競馬場で使用されているファンファーレは
J-POPや番組音楽などの作曲・編曲で知られる鷺巣詩郎(さぎす・しろう)氏が作曲されました。
(鷺巣氏はこの他にも関西・北海道の本馬場入場行進曲の作曲をされています)
非常に音域が高いファンファーレで、ピッコロトランペットが使用されており
重賞ファンファーレの生演奏では失敗が多発しています。
また、中央競馬のファンファーレでは唯一打楽器が使用されておらず、さらにホルンがいい仕事をしているので
非常に透き通った感じのファンファーレとなっています。
・使用楽器(全曲統一・括弧内の数字は使用される楽器の本数)
ピッコロトランペット(1)
トランペット(3)
ホルン(2)
トロンボーン(1)
バス・トロンボーン(1)
※ 生演奏などでは違う楽器が使用されることがあります。
(重賞ファンファーレではバイオリン・ビオラによる演奏、サックスによるソロ演奏が行われたことがあります)
障害競走ファンファーレ
障害競走で使用されているファンファーレは
テレビ音楽やアニメソング、純音楽などで知られる三枝成彰(さえぐさ・しげあき)氏が作曲されました。
障害競走ファンファーレは「手拍子のしにくい曲」をコンセプトに作られたため、非常に複雑であることが特徴です。
その複雑な曲想の秘密はもちろんメロディーや拍子などにあるのだと思いますが
「楽器の工夫」というのも実はこのファンファーレに隠された大きな特徴なのではないでしょうか。
(障害競走ファンファーレの楽譜は持っていないので詳しいことは分かりませんが)
普通だとリズム楽器や裏メロディー楽器として使用されるホルンやトロンボーンがメロディー楽器として活躍しており
特にJ・GTファンファーレでは前半メロディーはホルンが務めています。
この工夫がトランペット主体のファンファーレとは一味違った雰囲気を醸し出してくれるのかもしれません。
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