4日目 3月10日(月) 「ウェルカム・セレモニー」





日程

Period 2(8:50〜9:50) ウェルカム・セレモニーの準備
Period 3(9:54〜10:56) ウェルカム・セレモニー
Period 4(11:10〜12:10) W高校のスチューデントカード作成(とは言っても写真を撮っただけ)
Period 5(12:10〜13:10) 昼食等
Period 6(13:10〜14:10) 学校見学
Period 7(14:15〜15:15) 「ceiling tile」作成開始
15:30頃 帰宅






公式用のズボンとは・・・?

ウェルカム・セレモニー

嫌いな「写真」

学校見学

徐々に不安に襲われていく





公式用のズボンとは・・・?


4時頃までの記憶があったにも関わらず、目が覚めたのは6時半頃だった。

さて、今日からいよいよW高校の生徒としての学校生活が始まる。

いろいろと頑張らないと・・・。



この日はパートナーと一緒にバスで通学した。

だが、明らかに遠回りの上、信号が多いので時間がかかり

さらに車体が揺れまくるので死にそうになっていた。

W高校は一昨日行っているので通る道や時間などはだいたい把握している。

だから、今日のバスは明らかに遠回りだということは理解できた。



学校に到着後、パートナーに案内されてとある部屋の前に到着した。

その部屋の中にはパートナーを滅多に見かけない男子と女子2人、そしてY先生がいた。

この部屋が我々の使う部屋となるらしい。

こうしてパートナーは去り、部屋にいる日本人たちといろいろ喋ることにした。

そんな時、とんでもないことに気がついてしまった。

ここにいる自分以外の人間全てがジーパンをはかずに黒いズボンをはいているのだ。

今日はウェルカム・セレモニー。

セレモニーは公式の場なので、ジーパン以外のズボンをはかなければならない。

俺としたことが、それをすっかり忘れていた・・・。



・・・ということではなく、驚いたのは「はいていた」こと。

学校に来てから着替えの時間くらいあるだろうと思い、「持ってきた」のだが・・・。

そして、もっと驚いたのは「黒」だということ。

俺が持ってきたズボンの色は黒ではなく、緑と茶色の中間色みたいな色なのだ。

え・・・黒なんて聞いてないよ・・・。

旅のしおりなどには「ジーパン以外のズボン」としか書かれていなかったので

「ジーパン以外なら何でもいい」という認識に普通はなるだろう。

それなのに、今いる人、そしてこの後来た人のほとんどは黒いズボン。

なんだか不安でいっぱいになってしまった。



仕方ない。着替えるか。

「着替える場所とかありますか?」とY先生に聞いたところ

「多分ない。私たち見ないから、ここで着替えなさい」という答えが返ってきた。

えええええ・・・・・・・。

じょ、女子がいるところで、き、着替えろと言うのか??

し、しかも上じゃなくて下の方なのに・・・。

当然戸惑うが、「誰も見たくないから」とY先生はいい、女子2人も反対側を向いているので

仕方ないから着替えることにした。

でも、そんな無茶苦茶な・・・。



着替えた後も当然ズボンの色を心配していたが

一番最後にやってきた男のズボンの色を見て安心することとなった。

自分のズボンよりも明るい茶色、というかベージュに近い色で・・・。

これがOKなら俺だってOKだし、俺が駄目ならこれだって駄目だろう。





我々が参加する授業のスタートは8時50分から始まる2時間目から。

今日の2時間目はウェルカム・セレモニーの準備だというが

それぞれセレモニーで喋る言葉を考えて練習するだけの時間となった。

自分で英文を考えてY先生に見せ、修正・補足をしてもらい・・・。

最初は何を書けばいいのか分からなかったが、とりあえずなんとかなった。



さて、いよいよウェルカム・セレモニーの時を迎えた。

我々も移動開始したが、そこは人でいっぱいになっていた。

入り口は今にもふさがりそうで、我々はやっとこさ突破できたという感じだった。



会場はものすごいところだった。

日本のように体育館で行われるわけではなく、ステージのある集会場みたいなところで行われるのだ。

その雰囲気はものすごく、テレビでしか見たことのないような光景だった。






ウェルカム・セレモニー


日本人はパートナーと隣同士になるようにステージ近くの席に座った。

いよいよだ・・・と思っていたその時、くだらないが、自分からすればとんでもないことに気付いてしまった。

自分たちは今、前列の一番端の席に座っている。

どういう順番で自己紹介を行うのか分からないが、もし「端にいる人から順番に」ということになったら・・・

そう思い、席を替えてもらうことにした。



こうしていよいよ迎えたウェルカム・セレモニー。

司会は女子のパートナーと思われる人で、日本語で進行を行っていた。

(日本語で喋った後、それと同じ意味の英文を喋るという方式)

まず、ヴァイオリンなどのバンドによるカナダ国歌・日本国歌の演奏や合唱団による合唱が行われた。

そして、Y先生のお話があり、飛行機で喋っていたあのネタも話していた。

「今回参加している日本人は、ちょうどこのプログラムが始まった年に生まれた人たちである」ということ。

話は全て英語だったので完璧に分かったわけではないが、それらしきことを喋っていることはなんとなく分かった。

さらに、「S先生と私は除く」みたいなことを言った時に笑いが起こったのも分かった。



その後、いよいよ日本人メンバーの自己紹介が行われた。

さっきから順番をものすごく気にしていたが、どうやら学校のクラス・出席番号順らしく・・・。

(都合により一部だけ順番の変更があったが)

そうなると順番は真ん中よりやや後ろの方になるので、今までの心配は全て無駄だったようだ。

もちろん、席を替えたことも・・・。

自己紹介は、司会者がカナダ人と日本人パートナーの名前を呼んだ後、2人でステージに上がり

まずカナダ人が自分のパートナーを紹介してから、日本人が先程考えた自己紹介の英文を喋るという方式で行われた。

パートナーは、俺はトランペットが吹けるということを紹介したかったらしいが

日本人メンバーの中にもそれを知らない人が多く、知られたくないので「言わなくていい」と言った。

この段階で、W高校にいる日本人の先生の助けをもらったが・・・。

また、こんな時に1人だけパートナーがいない日本人がいた。

一昨日もパートナーがいなかった男である・・・。

一体どんなパートナーなのだろう。



数名の自己紹介が終わり、ついに自分の番がやってきた。

司会者に名前を呼ばれてパートナーと一緒にステージに上がり

パートナーが俺のことを紹介した後、いよいよ自分が喋る番。

正直、理事長室や出発式で日本語の挨拶をした時よりも緊張したが

喋ってしまえばなんとかなると思って、先程完成させた英文を読んだ。



「Hello everyone. My name is...」

自己紹介では自分の趣味などを喋ればいいというが、これと言った趣味がなかった。

元トランペッターだなんて当然言えるわけがないし、競馬が趣味だなんて言ったら大問題だと思う。

なので、趣味というよりも「日課」になっているパソコンについて喋ることにした。

これに関して、Y先生の補足で「一日に数時間パソコンをしている」という文章を作ってもらったが

それを喋ったところ、何故か大ウケだった。

これは後で知ったことだが、「several hours(数時間)」を「seven hours(7時間)」と聞き間違えられたみたい。

一日7時間・・・確かに休日ならそれぐらいしているかも。でも毎日となると・・・。

そして、最後に「I like Saskatoon!」と言ったところ、なんと会場が拍手喝采に包まれてしまったのである。

ま、まさか・・・俺の発言でこんな拍手喝采が起こってしまうなんて・・・。

今まで喋った人は多少のウケはあったものの、ここまでの拍手喝采は起こらなかった。

それなのに・・・メンバーの中で一番無愛想な俺が・・・何故???

なんだか申し訳ない気分で、自己紹介を終えた日本人が並んでいるステージの後ろに行った。

とは言え、素直に嬉しかった。

しかし、この後メンバーのトリを飾った男にこれ以上の拍手喝采が起こることになる。



日本人メンバーで一番、というより唯一身長が高くて

何かと笑いをとろうとするが滑りまくるメンバーのムードメーカー的存在

我らのヒーロー(?)、K君だった。



彼の自己紹介は、明らかに「ウケ狙い」の姿勢が見られたのである。

ステージには演台があるのだが、その演台に手を置き、高い背を曲げ、演説するような体勢になっているのだ。

こ、コイツ・・・どこまで緊張のない男なんだ・・・。

もう最初から大ウケで、最後は大騒ぎだった。

本当、驚異の男だと思った。



そしてもう一人、大ウケだった人がこの後登場。

それはS先生だった。

ゴルフ部の顧問なので、ステージ上でゴルフの真似をするなど、彼もまた面白かった。



最後にW高校の校長先生のお話があり、校長先生と握手を交わした。

その後、日本人メンバーの集合写真が撮られ、パートナーたちやM君など、たくさんの人に写真を撮ってもらった。



この時、セレモニー会場でM君の横にもう一人日本人がいた。

山形県生まれのハーフで、現在はここに住んでいるというY君。

ハーフなのでパッと見たところ日本人だとは思わないのだが

この後我々のいる部屋に乱入して見せたテンションなどは、間違いなく日本の若者だった。



そんなY君とM君が日本人メンバーと喋っていたところを見て

S先生は彼等に「日本語上手だね」と声をかけた。

彼等は日本人である。



とにかく無事にウェルカム・セレモニーも終わり、我々は部屋に戻った。

だが、部屋の隣では授業をしていることが多く、授業時間中は静かに過ごさなければならなかった。

部屋に戻った後、W高校のスチューデントカード作成という名目で休憩をとっていたが

確かこの時間も静かに過ごしていたと思う。






嫌いな「写真」


ウェルカム・セレモニーが終了した後部屋に戻り、W高校のスチューデントカードを作成。

とは言っても、既に何度も書いているが、この時間はほとんど休憩だった。

何かしたと言えば、カード用の個人写真を撮っただけである。



写真・・・

写真を撮るために次々とメンバーが並んだが、俺だけは何故か並ぶのを迷っていた。



俺は典型的な「写真嫌い」なのである。

小学時代からとことんカメラを回避することに必死で

今回の旅でも既に何度か身を隠したり、それが無理なら顔を隠して写ったりなどの奇行を起こしている。

写真か・・・嫌だな・・・。

しかし、今回に限っては逃げるわけにも行かず、ようやく一番最後に並んだ。



ここで、写真を撮る時にはいつも言われるようなことを言われた。

「笑顔で!」

笑顔・・・。

この時実感してしまったのだが、俺は笑顔が苦手。

笑顔で写った写真なんてほとんどなく、あったとしてもそれは無理矢理笑わされたという感じ。

そして今回も、他のメンバーに無理矢理笑わされてしまった。



写真と言えば、笑顔の他にもポーズというものをとって写ったこともほとんどない。

「ピース」というものに至っては小学校低学年以来全くやっていないと思う。

(小3の頃には既にやらなくなっていた)

そんなことは絶対にしたくないのである。

とは言っても、写真に関して何かトラウマがあるわけでもない。

ただ、自然とそういう性格になっていったのであった。





昼食の時間を迎えた。

大きなハンバーガーなどの昼食をパートナーから持たされているので

この部屋で食べることにした。

また、この時間、我々の部屋にいろんなカナダ人がやって来た。

M君やY君もやって来たと思う。

はるばるやって来た日本人と親交を深めたいのであろうか。

俺はあまり喋らなかったが、いろいろと面白かったと思う。






学校見学


昼食終了後の6時間目、我々はW高校の先生に案内してもらい学校見学を行った。

この学校には様々な学科があるようで、普通科高校では考えられないような施設がたくさんあった。



自動車整備を行っている教室(?)があったし

機械の部品のようなものを作っている教室もあった。

何やら自動車を作って大会かなんかで走らせるとかなんとか・・・という話も聞いた。

また、コンピュータ室もあったが、そこではソフトウェアの開発を行っているとか。

(そのあたり、詳しい記憶が残っていないので分かりませんが・・・)

すると、案内して下さっている先生が何やら俺の方を向いて喋っている。

「え、俺?」

・・・どうやら、「確か君はパソコンが趣味だったよね?」と質問していたらしい。

正直驚いた。

確かにウェルカム・セレモニーで「パソコンが趣味」と喋ったが

これと言って趣味というものもなかったので適当に「パソコン」と喋っただけで

しかもそれを覚えてくれていたなんて・・・。

少なくとも、「ソフトウェアの開発」なんて専門外だ。



 

(左)自動車整備の様子
(右)何やら機械の部品を作っているのだろうか。いやロボットか?




この日の見学で特に印象に残ったのはこのような実技系の教室ばかりだった。

また、これだけでなくこの他にもいろいろあったと思う。

とにかく、このような教室を眺めて思うことは「すごい」の一言。

「この学校に通ってみたいな・・・」とか思ってみたりもした。



 

(左)体育館。12日にホッケーの授業の参加で使った他、バドミントンの見学等でも何度か訪れた。
(右)食堂などに使われている部屋。11日夜にタコスを食べた後、この部屋で踊った。






見学終了後、7時間目に「ceiling tile」の作成を開始した。

「ceiling tile」とは毎年我が校の生徒がW高校を訪れた記念として作成しているもので

大きなタイルに絵を描き、それを天井に埋め込むのである。

後日、過去何年かの「ceiling tile」を見る機会があり、どういうものなのかだいたい把握できた。



図柄は女子が決めてくれたようで、この日は早速下書きから始まった。

そしてサスカトゥーンでの最後の日となる13日まで、毎日全員で制作に取り組むこととなる。

ただ、俺は時々サボっていたが・・・。

特に、午後は疲れが出て暴言を吐きまくっていた。

この当時のNHKの朝ドラは「ちりとてちん」で、それに登場する徒然亭四草(加藤虎ノ介)を意識していたのかも・・・。

なんだかK君が小草若(茂山宗彦)の真似をし始めるもんだから・・・。



俺の分かりにくい四草真似はともかく、K君の小草若真似は女子には通じたが

男子で朝ドラを見る人はほとんどおらず、全く通じなかった。

とにかく、K君はいつもこのようにくだらないことをして笑わせるどころか滑ってしまうのである。

だが、このくだらないテンションがメンバーのムードメーカー的存在にもなっていた。



一方、無愛想でテンションが上がらず孤立しかけている男もいた。



とは言え、なんとか楽しくはやっていたのでそれでいいだろう。






徐々に不安に襲われていく


放課後、パートナーがバドミントンをすると言い、見学するかどうか問われたが

よく分からなかったので、見学せずすぐに帰ることにした。

というわけで、この日はパートナーのお母さんの迎えで帰宅した。



異国の地での活動のためか、それとも寝不足だったためか

肉体的にも精神的にもまいってしまい、帰宅後爆睡してしまった。



翌日知ったことだが、この日ほとんどの男子はバドミントンの見学を行ったらしく

見学せずにとっとと帰ったのは俺だけだったそうだ。



起きた後はいつものようにパソコンをしたり夕食をいただいたりして夜を迎えた。

この日、「高岡おとぎの森公園」で不審火が起こったというニュースがあったらしい。

このようにインターネットというを使って地元のニュースも簡単に知ることができる。



そういえば、「ホームステイの時に一度は自分の手で料理を作ってあげなさい」と言われた。

それで日本でカレーを作る練習をし、カレールーなどの材料を持ってきたのだが・・・。

実行する機会が見つからず、その前に実行する自信もなく、そのことで結構苦しんでいた。



はるばるカナダに来て、俺は今まで何をしただろうか。



いろいろと悩みながら、4日目を終えた。

5日目(3月11日)に続く






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